拝啓 日増しに寒気加わる季節となりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
さて、International SAKE Challenge 2007についてはこの蔵便りでも度々書いてまいりましたが、さる10月26日の午後、六本木のホテル、グランド・ハイアット東京で授賞式が開かれました。もともとアジアで最も認知度の高いワイン審査会であるJapan Wine Challengeのコンテストが10回目を数えるのを機に、日本酒のコンテストが併設される形で開催されたものですので、出席者も外人と日本人が半々くらいの割合です。高円宮妃殿下にもご臨席を賜り、各国大使館関係者も多数出席しました。日本の蔵元は小生を含めて僅か3
名。日本にいながら、なんだか外国にいるような気がしてきました。先ず始めに、Argentine(アルゼンチン)からUSAまでの各国別の最優秀ワインの15銘柄がJWC Awardとして表彰され、次にシャンパン、Old World産の赤ワイン、白ワイン等々、ジャンル別の11銘柄がトロフィーを授与され、さらに特別賞がメーカー等4社に贈られました。SAKE Challengeの表彰は最後のおおとりです。妃殿下からじきじきにトロフィーを授与していただくとあって、ちょっぴり緊張しながら順番を待ちました。写真で晴れの瞬間をご覧ください。式典終了後は、同会場で記念の集合写真を撮影し、それから懇親会に移りました。高円宮さまのご存命中には、清水へお越しの際は、かかさずご夫婦で地元の末廣鮨に立ち寄られて弊社の吟醸酒をお召し上がりいただいておりました。そんな次第で妃殿下にご挨拶いたしますと、よく覚えていただいており、初対面ながら話がはずんだのは光栄の極みでした。
次に、製造関係についてご報告いたします。10月2日の大安吉日、菅原杜氏以下3名の蔵人が岩手から到着し、本社の神谷と合流して蔵入りいたしました。昨年まで務めていた頭が高齢のため引退し、今年から杜氏と同い年の新メンバー、谷地舘さんが頭を務めることになりました。その後、洗米着手日の10月6日には、市内栄松院のご住職を招いて醸造祈願のご祈祷をお願いし、その晩は顔合わせの懇親会を開きました。通いでお手伝いする女性陣も含めて全員参加で執り行う、酒造りの始めの恒例行事です。これから半年間、寝食を共にして酒造りに専心するので、何と言ってもチームワークが肝心です。歓談の様子を見ておりますと、これなら今年も美味しいお酒ができ
ると確信いたしました。この蔵便りを書いている11月8日現在、純米吟醸酒を中心に660s仕込みを連続10本、1.2トン仕込みの純米吟醸酒を1本、2トン仕込みの本醸造酒を1本仕込み終わり、既に1号の特別本醸造酒の上槽に取り掛かっております。予想どおり、素晴らしい味と香りのお酒になりまし
た。この後、富山県産五百万石を用いた純米吟醸酒を、袋吊りも含めて次々と上槽してまいります。皆様、必ずや素晴らしい出来ばえにご満足いただけるものと存じます。是非ともお召し上がり下さい。
向寒のおりから、どうぞご自愛ご専一に。                   敬具
平成19年11月吉日
                           鈴木克昌


授賞式 高円宮妃殿下とともに

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