「臥龍梅」蔵便り    平成十九年弥生

拝啓 春意ようやく動き始めた今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。しのぎ易い季節になるのはよいのですが、毎年花粉症に悩まされる小生としては鬱陶しいシーズンの始まりでもあります。
有効な対処法があったらご教示願いたいものです。
さて、毎年この季節になるとやはり気になるのが興津清見寺の「臥龍梅」の開花状況です。これまでにも書いてきたように、徳川家康公お手植えと伝えられるだけに、樹齢四百年の立派な梅なのですが、いかんせん老木で、なかなか咲きません。しかも普通の梅なら三分咲き程度の開花で終わってしまうのが通例です。写真を撮影する機会をうかがっておりましたが、先月24日、東京から
のお客様をご案内して寺に寄ったときに撮ったのがこの写真です。今年は寺の二階から見下ろす構図で撮影してみました。「臥龍梅」を銘柄に謳っている当社としてはこの梅が枯れたりしたら大変だと言っておりましたら、熱心な愛好家の方がお宅の庭に植えなさいと「臥龍梅」の苗木を分けてくださいました。とは言え、花が咲くようになるにはまだまだ時間がかかりそうですので、それまでは清見寺の「臥龍梅」に頑張ってもらわなければなりません。
さて、この季節は次々に上槽される新酒を順番に火入していかなければならない忙しい時期でもあります。そんな最中、何と本社のボイラーが壊れてしまいました。よりによってこんな時期にと一瞬天を仰ぎました。しかも蔵のいちばん奥まったところにボイラー室が設置されているため、大工事が予想されました。そこで突貫工事で新しいボイラーに交換してくれと業者に頼んだところ、何と実質2日で完了してくれました。重量2トン以上あるボイラーを50トン仕様のクレーン車で吊り上げて工場の屋根を乗り越え、寸法分だけくりぬいておいた屋根の隙間から吊り降ろすといったもので操縦者の名人芸に感心しました。記念に写真を撮っておきましたのでご覧ください。
雑誌「dancyu だんちゅう」誌の4月号で「臥龍梅」が紹介されました。「日本酒の春」の特集号で、「臥龍梅」は「日本酒業界の風雲児が醸す酒米のロマン 伝説の酒米短稈渡船 この春、半世紀ぶりに復活!」と題した記事で大きく取り扱われております。風雲児とはちょっと照れくさいですが、暇があったら書店で立ち読みしてみてください

さて、今月はいよいよ山田錦を用いた純米吟醸酒をご案内いたします。ぜひとも、山田錦の親株である短稈渡船、山田錦の改良品種である誉富士と三点あわせて飲み比べてみてください。
早春の候、皆様にはますますお元気で過ごされんことを。                 敬具
平成19年3月吉日                           鈴木克昌

追伸 4月4日〜6日に有明の東京ビッグサイトで開催される「グルメ&ダイニングスタイルショー2007」と4月8日(日)に椿山荘で開催される恒例の「純米酒フェステイバル2007春」に出展いたします。是非とも弊社ブースにお立ち寄りください。 

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