「臥龍梅」蔵便り   平成十八年霜月

拝啓 日増しに寒気加わる時節となりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

先月の6日と7日の晩にちょっと風変わりなお酒の会が開かれましたので、まずそのご報告から始めます。題して「東照宮 吟醸夜会 〜静岡地酒と中秋の名月〜」というイベントで、読んで字のごとく、久能山東照宮の境内で月見酒を愉しもうというものです。来年は徳川家康駿府城入城400年にあたる節目の年でもあり、家康公を祀る久能山東照宮が主催し、県酒造組合、JA静岡経済連等の協賛で実現しました。参加したのは当社を含めて県内蔵元11社です。
ご存知ない方が殆どと思いますので少々説明いたしますと、静岡の東照宮は駿河湾を見下ろす標高216mの久能山山頂に位置し、参拝するには山下鳥居から1,159段の石段を歩いて登るか、切り立った断崖絶壁で隔てられた日本平山の山頂からロープウェイで渓谷を渡っていくしか方法がありません。そんな辺鄙な山の上ですので、お酒を運び込むのに一苦労しました。初日は残念ながら雨にたたられてしまいましたが、二日めは月夜に恵まれました。いずれにせよ、神聖な境内で琴の音を聞きながら酌み交わす酒の味はまた格別だったようで、二日間とも100名弱のお客様に満足して帰っていただくことが出来ました。
さて、写真をご覧下さい。当社では山田錦の親株である「滋賀渡船」と山田錦の改良品種である「誉富士」という二つの酒米に取り組んできましたが、「滋賀渡船」は近江八幡の農家の方が、「誉富士」は県内志太地区の農家の方が見事に実らせてくれました。長らくお待たせいたしましたが、今年はいよいよこの2品種と山田錦、いわば親子三代のお米で造ったお酒3点を飲み比べていただけることになりました。こうご期待!
もうひとつ、ご報告。わが「臥龍梅」は、全日本国際酒類振興会主催「2006年秋季酒類コンクール」の大吟醸、純米大吟醸の両部門で1位という栄誉に輝きました。嬉しい知らせに菅原杜氏もかい棒を握る手に自然と力が入るようです。
次にざっと造りのご報告。10/1、大安吉日に菅原杜氏以下4名の蔵人が蔵入りし、10/4には洗米着手、
富山県産五百万石、総米660sの純米吟醸を連続10本仕込み、11/7現在で1号の醪は+1、Al 16度まできれて来ました。もう上槽まで秒読み段階です。ご愛顧にお応えし、恒例の純米吟醸袋吊り雫酒の出荷準備に入りました。皆様、今年も是非ともお試し下さい。


近づく冬に向けて、どうぞご自愛ご専一に。                       敬具
平成18年11月吉日                                鈴木克昌


滋賀渡船
誉富士
誉富士玄米

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