「臥龍梅」蔵便り   平成十八年五月


拝啓 今年も蔵の裏山で鶯が囀る季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先月の蔵便りの末尾でご報告しましたが、今年も名古屋局主催の酒類鑑評会で優等賞を受賞いたしました。4月11日の午前に表彰式、午後に「利き酒研究会」が、さらに夕刻から恒例の「東海4県酒祭り」が開催されました。場所は桜の名所、名古屋城のまん前の「名古屋キャッスルホテル」でしたが、既に満開を過ぎ、あいにくの小雨に打たれて散り始めていました。「利き酒研究会」には熱心な関係者が多数参加し、いつもながら熱気にあふれていました。弊社の菅原杜氏もはるばる岩手県からやって来て列の先頭に並んで開場を待っておりました。その会場でのこと、お酒の専門家、松崎晴雄先生とひょっこりお会いしてご挨拶したところ、思いがけない話を聞かせていただきました。先生はご承知のとおり、日本酒輸出協会(SEA)の会長も勤めておいでになります。そんな関係からでしょうか、先般、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ出張されたのだそうです。そこで「エミレーツタワー」という高級ホテル内の「E T Sushi」というSake Barに入ったところ、なんとわが「臥龍梅」が置いてあったのだそうです。シンガポールへは輸出しておりますので、おそらくそちらから廻っていったものでしょうが、自社製品が自分も知らないうちに遥か彼方の中東まで行って飲まれているとは思いもしませんでした。先生はわざわざ写真に撮ってきてくださいましたので、間違いはありません。気になる値段ですが、720ml壜1本が550ディルハム(Dirham)だったそうです。1US$=3.675ディルハムですので15,000円から16,000円ということになります。シンガポールの日本料理店で6,300円だったと聞いて驚きましたが、そんな比ではありません。さすがに大金持ちの産油国です。日本国内で100円や200円のことで高いの安いのと言っているのが、何だかばかばかしくなってくるということで先生と意見が一致しました。輸出に関連した話題をもうひとつ、先月からアメリカへ輸出を始めたことをご報告しましたが、地元の静岡新聞が記事に取り上げてくれました。まだ始まったばかりなのでおおげさに書かれると照れくさいのですが、まあ宣伝にもなることなので取材に応じました。
さて、4月というとお酒の会が花盛りですが16日にはなんと三つの会が重なり、従業員が手分けして参加しました。そんな事情で、純米酒フェアのブースには、この春、東京の大学に進学した長男が立ちました。ところで、そろそろ昨年いただいた国税庁長官記念盃のトロフィーを返却しなければいけないなと思って南部杜氏協会へ電話したところ「おめでとうございます 今年は4位の岩手県知事賞です」との返事をもらいました。昨年より順番は少し下がりますが、2年連続で壇上に上がって賞状をいただくのは大変に名誉なことですので、まずは取り急ぎご報告いたします。
夏の近さを思わせる今日この頃ですが、おからだには十分気をつけてください。       敬具

平成18年5月吉日                       鈴木 克昌

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