『臥龍梅』 蔵便り   平成15年睦月
拝啓 「天気図の縦縞(じま)緊(し)まる寒の入り」(吉沢卯一)という句が今朝の新聞の天気予報欄で紹介されておりました。西高東低の冬型の気圧配置になって、等圧線が縦縞の模様になっている天気図の意味だそうです。寒の内(かんのうち)らしい寒い日が続いておりますが、皆様お正月のお休みはいかがお過ごしだったでしょうか。

弊社では、お正月には会長の鈴木亀雄が孫をつれて京都の松尾大社に参拝に出かけるのを恒例の行事としております。今年も高校一年と中学一年になる男の子二人をつれて酒造祈願に行ってまいりました。松尾大社と言えば昔からお酒の神様として有名ですが、その由来をご存知でしょうか。ものの本によりますと、何でも次のような理由だそうです。
そもそも、太古の昔からこの地方の住民たちは松尾山の山霊を生活の守護神として頂上付近の磐座(いわくら)に祀っていました。ところが、5,6世紀のころ秦の始皇帝の子孫と称する秦氏(はたし)の大集団が朝廷の招きによってこの地方に移り住んでまいりました。そして彼らは松尾山の神を一族の氏神として仰ぐようになりました。当時、大陸の進んだ技術を取り入れるため朝廷が大勢の技術者集団を招いたことは歴史の教科書でも読んだことがあります。さて、この秦氏一族が特技のひとつとしてわが国に伝えたのが、酒造りの技術だったのです。そんな事情で、室町時代の末期からこの松尾大社が酒造の神様として崇められるようになったのだそうです。
何はともあれ、全国各地から寄せられて境内にずらりと並べられた飾り樽は圧巻です。今年もよいお酒が出来ますようにと会長がお参りして来た次第です。

以前もご報告いたしましたが、「臥龍梅」が純米大吟の部4位に入賞した「全国酒類コンクール」の結果が「週間新潮」誌の1月15日号に掲載されております。ご覧いただければ幸いです。

昨年末は特別本醸造(原料米 富山県産五百万石)が売り切れてしまい、多方面にご迷惑をおかけいたしました。この場を借りてお詫び申し上げます。その代わりと言っては何ですが、杜氏を急かせて新年早々に静岡県産山田錦の特別本醸造を上槽いたしました。さらにふくらみのある酒に仕上がっております。ぜひともお試しください。

きびしい寒さのなか、ご一同様ますますお健やかに。                   敬具
平成十六年一月吉日                                 鈴木克昌

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